健康に対する意識が変わってきたのか、最近になってようやく、薄味のソフトドリンクがアメリカで増えてきたように思う。初めてこの街に来た頃は、毒々しく色のついた甘いソーダ類か、もしくは水、の選択を迫られることが多く困ったものだった。ソーダの甘さたるは、喉が染みるほどでどう考えても身体に悪い。
さて、最近、ソフトドリンクの広告を地下鉄車内でよく見かける。フィジー島産のミネラルウォーターに始まり、以前紹介したざくろのジュース「POM」など、健康的なドリンクの宣伝をクリーンでシンプルなタッチで宣伝している。
今日地下鉄で発見して、ハッとさせられたのは、伊藤園のティーシリーズだ。
キャッチコピーは、
「砂糖を抜けば、あなたの人生はもっとスウィートになります」
というもの。
スウィートな人生がどんなものかはよく分からないが、ウム、砂糖抜きをすれば、健康になって人生はよくなるかもしれない、と思わせるキャッチだ。砂糖の取りすぎは「イライラ」の原因にもなるし、もちろん、体重も増やしてくれる。中でも、きれいに漂白された精製済みの砂糖は、身体を酸性にしてしまい、成人病の原因にもなると言われている。
数年前に初めて伊藤園のティーズティーシリーズをデリで見つけた時には「高い!」と思ったものだった。ハイクオリティーを前面に押し出すのは分かるが、たとえば、緑茶の味わいをアメリカ人が理解できるのか、と首をかしげた。逆にチャイナタウンなどでよく見かける缶の緑茶は安いには安いが、甘く味付けされていて、一口飲んで吐き出したことがある。
このティーシリーズがアメリカでブレイクするか、これまで少し懐疑的だったが、この「スウィートライフ」キャンペーンで「ヘルシー」で「洗練された」イメージを消費者に与えることができるかもしれない。しかも種類も7つに増え、並べられると、見ていてカラフルで楽しい。
日本食を食べて「味がない」というアメリカ人が多いが、ここまで普及しているのはやはり、「ヘルシー」で「洗練された」イメージが定着したからに違いない。友人からよく聞く言葉は「I love Japanese sleekly design」。日本のシンプルで洗練されたデザインのイメージはかなり浸透している。これに「健康」が加われば、ニューヨーカーは高くても買ってしまうはずだ。